学び・図学
たんぱく質の立体構造を決めるまで(位相は、回折には写らない)
立体構造を決めるまで(位相は、回折には写らない)
この図は、下の 1 枚の YAML から描かれています。手で図形を動かしてはいません。
正本に書いてある決まりごと
回折で測れるのは強度だけで、位相は写らない。 これが位相問題。強度だけでは電子密度マップを作れないので、位相はよそから持ってくるしかない ——分子置換(MR)は似た既知構造から、SAD/MAD は異常分散から、同形置換(MIR/SIR) は重原子を入れた結晶との差から。全体でいちばん多いのは MR(2022〜23 年の登録で約 88%)。実験で位相を出す道の中では単波長の SAD がいちばん多く使われ(Acta Cryst. D80 (2024) 766–779。2026-09-29 確認)、硫黄などもともと入っている原子だけで位相を出す native SAD もある。
クライオ電顕の単粒子解析には、位相問題が無い。 像そのものを撮るから。代わりに同じ分子を大量に撮って平均する —— 2D 分類でゴミを捨て、初期モデルを作り、3D 分類で状態を分け、精密化する。分解能は FSC = 0.143 を基準に言う(half-map どうしの相関)。柔らかい所と硬い所で分解能が違うので、1 枚のマップの中でも一様ではない。
どちらの道も、最後は同じ所へ出る。 マップに主鎖を通してモデルを作り、精密化し、検証する。
検証は、合わせただけでは通らない。R は観測強度とモデルの計算値の食い違い(低いほど良い)。R-free は精密化に使わずに取り分けた反射で同じ式を計算したもので、Brünger が 1992 年に Nature で導入した。R と R-free の差が大きければ、モデルにパラメータを入れすぎている。良い高分子のモデルは分解能 2.5Å で R ≒ 0.2、でたらめなモデルなら 0.6 くらいになる。
見本 290(ラマチャンドランプロット)・291(トポロジー図)と対。あちらは出来上がった構造を読む図、こちらはそこへ至る道。
正本(YAML)
examples/gallery/293-立体構造を決めるまで.zumen.yaml